2018年02月14日

エンタメ業界に関する農耕民族と狩猟民族の違い。若い世代と親御さんに知っておいて欲しいこと。


私は過去の記事で再三にわたって「クオリティという言葉に逃げるな」「下手でもいいから音を世に出せ」と言い続けてきたのだが、それにはもちろん理由がある。

それが農耕民族と狩猟民族の違いからくる民族気質だ。

元が狩猟民族だった国のエンタメは「完成されたパフォーマンス」に惜しみない賛辞を送る。

でも、日本のように農耕民族気質はそうではない。

「成長する過程を楽しむ」のだ。

わかりやすく説明しよう。

アメリカの俳優やミュージシャンは日本に比べればはるかに平均年齢が高い。
映画の主演クラスやビルボードの常連ミュージシャンをみればわかりやすいだろう。
30代以降が活躍してる。

それにくらべて日本はどうだろう?
ずいぶんと平均年齢が若いとおもわないかい?

日本人は若い頃から年々成長する姿を愛おしく眺める気質がある。
だからこそパフォーマンスが未熟な若手の役者やアイドルたちがこれだけビジネスになっているわけだね。

このような根底にある民族的な気質を考えれば、なにも若い君たちがハイクオリティな作品が作れるようになるまで待つことはない。

未熟でいい。

まずは世の中に自分の作品を放て。

そりゃ資金も経験も潤沢なプロの作品と比べられて、ネガティブな事も言われるだろう。

でも同時に君のことを応援しようとする人たちが必ず出てくる。

だから勇気をもって作品を発表するべきだ。
頑張っている姿をみて応援したいとおもう同世代はたくさんいるし。

私のようなおっさん世代からみたら、未熟でもがんばるその若々しい姿はとても好ましい。
おもわずアドバイスやチャンスを与えたくなるほどに。

厳しい言い方をすれば
批判を恐れて作品を世に出さないうちはキミはまだ「口先だけの人間」だ。
夢をもって頑張っているという自分に酔っているだけだ。

さてもう少し具体的な業界人の見方を書こう。

完成された若者と、未完成な若者。
大手芸能プロダクションと大手レコード会社はどちらの若者を採用するかというと
ほぼ100%と言っていいぐらい未完成な若者をとる。

完成された若さを求めるのはお堅いクラシック音楽の分野だけなんじゃないだろうか?

それぐらい圧倒的に未完成な若者の方が好まれる。

なぜか?

それは「伸びしろ」の部分だ。

作品クオリティだの演技力だのは、プロの仕事でいくらでも上乗せできる。
商業として「売れる方向」に持っていけるのも未完成な方だ。
「まだ何者でもない」というのは「これからさき何者にでもなれる」という意味だからね。

ミュージシャン志望だったけど役者として成功した人。
もしくはその逆。
そんな経歴の芸能人、アナタも何人か思い浮かぶだろう。


ところがどうだ?
完成してる若者の演技スタイルや音楽スタイルが時代にそぐわなかったら?
もしくは事務所の得意なスタイルではなかったら?

わざわざ時代に合わせて、事務所の得意なスタイルにあわせて軌道修正させると思うかい?

しないしないそんなめんどくさいこと。
みんな仕事だもの。

未完成な若者に経験値を積ませて成長させたほうがはるかに楽だもの。

ましては完成された若者を売り出すために会社の得意なスタイルを変えるようなマネは断じてしない。
得意なスタイル捨てるようなリスクを取るぐらいなら、なおさら未完成な若者を選んで得意なスタイルをキープする。

誰だって、どこの業界だって、仕事は楽な方が好まれる。
べつに芸能界だって同じさ。


そんなわけで。

若い人はもっともっと世の中に自分の存在をアピールするべきだ。
いまはスマホさえあればネットを通じていくらでも発信できるしね。


そして親御さん。

もしお子さんがエンタメ系に進みたいと言い出したら。
「アンタまず作品を作ってネットで公開してみなさいよ」ぐらい言いましょう。

そうするとかなりの高確率で「パソコンがないと・・・」と言い出すので
「スマホアプリでライブチャットすれば録音機材いらないでしょ」とか「無料アプリで作曲できるのもある」とか言い返してください。

具体的なやり方は説明しないでいいです。

自分で調べる努力をしない子は夢を追いかけさせても無駄なので。
「自分で調べなさい。アナタの夢なんでしょ」ぐらい突き放したほうがいいと思います。

「自分の未来を、自分の脳みそで考えさせる」というのはとても有意義な事ですから。

この「自分で考える」ができない子に育ててしまうと・・・

いくつになっても夢ばかりを語る・・・ダメな人に育ってしまう可能性が高いですから。


まぁいまはパソコンでもスマホでも作品公開でも。
無料でできることがたくさんありますから。
お子さんとのコミュニケーションを図る意味でも、甘やかさない程度にはぜひ協力してあげてください。

posted by サムライX at 13:37| Comment(0) | 音楽業界裏話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月31日

2018年はパチンコメーカー社員が「自称プロデューサー」で声優女子を狙いそうな気配・・・


なんか今年の後半から声優志望やコスプレイヤー、若手タレントの子達から相談された件で
「パチンコメーカー」の社員が増えてきた。

一昔前はゲーム会社の社員が「ゲームに起用」をチラつかせてナンパすることが多かったけど。

どうも最近はパチンコメーカーの社員が同じことしてるようだ。


たしかに昨今のパチンコメーカーはアニメ版権で新台開発が盛んだからね。
若い女の子にも「言えばわかる」程度の作品名を口に出しやすい。
まぁ・・・納得といえば納得の図式。

ということで、芸能系を志している若い女の子はパチンコメーカーの社員名刺をチラつかせて口説いてくる男には気をつけましょう。

ただの1社員にキャスティングを左右するような権限なんて無いし。
メーカーともなれば、所属事務所もないような素人に仕事を発注するようなリスクは取りません。

十中八九、ナンパ目的ですから。

ナンパ目的がどうか1発でわかる質問としては
「日頃はどこの事務所さんにコンパニオンやCVを発注してるんですか?」と聞いてみましょう。

本当にキャスティングに関わる仕事しているならいくつかの事務所名をすぐに答えるはずです。

まぁ・・・ほんとにキャスティングしてるなら
なおさら事務所に所属してない素人に仕事をチラつかせたりはしないものですけどね。




本当にキャスティングしている社員が、事務所に所属してない素人を発掘して自社の作品に使いたいとおもったら、普通は仕事の付き合いがある事務所にその子を紹介して。
マネジメント関係を築いてから仕事をオファーするものです。


だってそうでしょう。
もしその子が業務中に問題を起こしたら、いったい誰が責任とるんですか?
その社員が責任をとるとでも?

コンパニオンにしろCVにしろ、ギャラはどういう経理処理をへてふりこまれるのでしょうか?
大手メーカーが個人の口座に振込みますか?

芸能界は夢のある世界ですけど、そこで仕事をしているのは普通の大人であり、会社員なので
甘い話は無いですよ。


複数の会社を経営していて、キャスティング件もあれば、起用するための仕事を自ら作り出せる私だとしても。

いきなり仕事はさせませんね。

まずは事務所内でレッスンさせます。

そこでスタッフとのコミュニケーションの仕方を見て
外部の仕事にだしてもいいかどうかの社会人適性を見極めると思います。

飲み屋なんかで知り合った素人の女の子を仕事で起用するなんてギャンブルは絶対にしませんね。



posted by サムライX at 21:46| Comment(3) | 音楽業界裏話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月25日

最近の若手作曲家にいいたいのだけど・・・50曲聞いて感じた傾向から。


私はおっさんなので最近のアニメとか動画サイトでの人気の曲とは基本的に耳に入ってきません。

なので定期的にコスプレイヤーの子達にお願いして
流行りの曲をまとめてもらって、まとめて視聴することでトレンド感を鈍らせないようにしているのですが・・・


数年前に「ボカロ世代の作曲家は休符の使い方がヘタ」と書きました。
もうひたすら早口でダダダダダっと歌詞を並べ立てて、息継ぎするための休符がぜんぜんない曲が氾濫した時期がありまして。

最近でこそそれらの傾向は減ってきました。

これはそれらの作曲家が数年間で経験をつんで、休符を使えるようになったからだと思います。

で、本題の2017年の傾向なんですが「ノイジーなシンセ+ロリ声歌手」です。

いやね、たしかにEDMブームとかで低音重視のオケがあるなら
そこに高音域の女性Voを載せたら音の分離がいいから、それなりにかっこよくは聞こえるんです。
ミックスが下手でもそれっぽく聞こえます。

だから、アレンジのアプローチとしていいんです。
オタクはロリ声好きでしょうし。

問題はオケなんですよ。

むやみに音色と音数を増やすな!!!!


重低音の迫力とか、シンセリフのビート感とかを出すために
安易に音数増やすことで表現しているのが多すぎる。

爆音高速ノイズインダストリアルを20年以上も聞き続けるこのおっさんが頭痛くなったよ!
まさか音楽聞いてて頭痛がしてくるなんて夢にも思わなかった。

音数を増やせばそりゃね、バカでも迫力でるんですよ。
でもね、それって自己満足なの。

いいかい?
なぜ近年、秋元さんがAKBや坂道系列で昭和歌謡みたいなアレンジの曲を発表してるかわかるかい?
正確に言うと、近年ではなく「ボカロ曲ブームがひと段落してから」だな。

若者の耳がボカロから始まった高速ビート路線に疲れてるからだよ。

その中でも比較的EDM色の強い欅坂さんの不協和音だってメインのシンセリフ以外の装飾音は多くはないし
それらの装飾音が登場するのはちゃんとVoの休符部分や間奏だ。

間違ってもメインリフ以外の音がVOにかぶさる形でAメロからガシガシ鳴り続けたりしない。



音楽で飯を食べていきたいなら、流行りのエッセンスを取り入れるだけではダメだ。

実際に商業的に成功してたり、年収で数億を稼ぐような、数万人を熱狂させるような海外のトラックメーカーの音源をちゃんと聞いてみればいい。
そんな無闇やたらに音数増やしてないから。

アニソンの曲に関してはまぁ、作曲家とアレンジャーが別なこともよくあるから、致し方ないにしても。

動画サイトで自分で完成系までもっていって発表している若い作曲家は
ブームのエッセンスを抜き出すのはすごくいい。
でももう1歩踏み込んでほしい。
その路線で成功している人の音源分析もぜひやってみて欲しい。

そこにも成長する要因がきっと見つかるから。

その部分をちゃんと学んで、自分の作品に生かせたら。
きっとチャンスは向こうからやってくると思う。

動画サイトで作品UPしたり、事務所にサンプル送ったりしてもなかなかチャンスがやってこないのは。

アナタに運がないとかではない。

アナタに足りてないものがあるからだ。


たとえば、パソコンで作曲して、その曲をUPするまえに
1度自分でイヤホンで聞いているだろうか?
ヘッドフォンで作曲してるなら、コンビニで売っているような安いイヤホンで聞いてみただろうか?

自分の作曲環境にあるスピーカーで視聴しただけで、世に出してはいないか?

アナタが若者向けの曲を作っているのなら、今時の若者はほとんどがスマホ経由でイヤホンで音楽を聞く。
その環境でちゃんと自分のミックスレベルを確認しただろうか?

プロの世界ではこの「再生環境の違い」はレコーディングエンジニアや私のようなプロデューサーが気を使う部分なのだが、素人のうちは自分でやらないとダメだ。

じゃないと「その他大勢の作曲家志望」の一人で終わる。
抜きん出るのは難しいだろう。

それともう一つ。

アナタの曲は、仮にピアノやギター1本で演奏しても良い曲だろうか???

シンセの音、高速なマシンビートがなくても、良い曲だろうか???

はたまたボカロじゃなくて、人間が歌っても良い曲だろうか???


公開している楽曲本数が多いのは良いことだと思う。
相乗効果でアクセスが増えるからね。

でも、そこから更に1段階上に進みたいなら、「聞き手の立場」で考えられるようになろう。
そうしたらまた新しいリアクションやチャンスがくるからね。

・・・って上の文で締めようと思ったけど。

最近の若者は素直な良い子が多いから(←皮肉)もうすこし言葉をたそう。

いいか、聞き手って別にお客さんだけのことじゃないぞ?

アナタ以外のすべてが聞き手だ。

つまり「業界人も聞いている」ということだ。

エンドユーザーの聞くポイントと
業界人の聞くポイントは違うからな。

さらにいうなら「同じ立場のライバル」も聞く。
オリジナルを作ってくれる作曲家を探している「歌手志望」の子やグループも聞く。

ここまで書いたらもうわかるな?

アナタが望んだ理想の未来から逆算してアプローチを変えるといい。



まちがっても基本的に「1分30秒」しか視聴されないインパクト重視のアニソン傾向だけでトレンドを判断してはいかんよ。


がんばれよ!
したたかにな!
posted by サムライX at 11:17| Comment(2) | 音楽業界裏話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする